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境野米子の自然暮らし

築150年の茅葺きの古民家を修復し、暮らしはじめて16年。おいしい水が湧き、囲炉裏があって、四季折々の恵みにあふれる暮らしを楽しんでいます。

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分断はもう結構、「みんな違ってみんないい」

「福島の人は、なぜ福島の外に避難しないの?」「福島から来たのになぜ答えられないのか」

 東日本大震災から1年半後の2012年9月。フランスを訪れた福島大の学生は、反原発を掲げた出席者からの質問に立ち往生した。国際NGOと大学の協力で実現した意見交換会の一こま。同行した丹波史紀准教授によると、別の学生が1年後に訪れたドイツでも状況は大きくは変わらなかった。

 就職活動でも、学生たちは壁にぶつかっていた。「多くの企業で福島の実情を聞かれるんですが、答えられなくて」。そんな相談を複数の教職員が受けている。

 ■汚染土の仮置き場を見学、表情一変

 福島大は11年4月、被災者支援の中核となる「うつくしまふくしま未来支援センター」を設けた。震災の研究・教育より、まずは地域貢献。ゼミなどを通じて熱心に支援に関わる学生もいる。福島で学べばおのずと原発事故や震災について語れるようになる――。そんな感覚だった。

 だが、それは思い込みだった。被災地に興味を持たず、避難者数も知らずに卒業していく学生もいた。丹波准教授は「この3年間、大学は学生目線で授業をしてこなかったのではないか」と振り返る。

 地域の課題を見つけ、解決できる学生をどう育てるか。大学は4月、新たな取り組みを始めた。4年間かけて福島の課題を学ぶ「ふくしま未来学」だ。 避難自治体の首長や住民、商店主から話を聞く「むらの大学」が主要科目。避難指示区域のため人影がなく自転車が放置されたままの駅前や、袋詰めの汚染土を 積み上げた仮置き場のフィールドワークで、学生たちは表情を一変させた。

 教育にかけられる予算自体が減りつつある。下支えする支援センターへの国からの補助金は11年度の約1億5400万円がピークで、15年度が期限。ある教員は「教員一人ひとりが学外とのつながりを生かして、教育内容を充実させていくしかない」と話す。

 ■「美味しんぼ」騒動、住民も避難者も衝撃

 福島大が寄り添っているのは誰なのか。立ち位置が問われたのは、週刊ビッグコミックスピリッツの人気漫画「美味(おい)しんぼ」をめぐる騒動だ。

 東京電力福島第一原発を見学した登場人物が鼻血を流すといった描写に自治体が抗議するなか、福島大の准教授の発言が掲載された。除染の効果について、「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと思います」と述べる内容だ。

 大学は5月12日、「福島大としての見解ではない」と発表した。相次ぐ住民からの苦情に加え、「県が抗議文を出したのに無視できない」(大学幹部)との判断もあった。

 一方、除染の効果に疑問を持ち、県外への避難を選んだ住民らは大学の対応にショックを受けた。「福島を離れた被災者の思いには寄り添ってくれないのか」。ある教員のもとには、京都府に避難している主婦から悲痛な声が届いた。

 寄り添う相手が誰かという課題は、震災直後からあった。11年11月、大学は沿岸部8町村の住民意識調査結果を発表した。新聞が「若い世帯50%超『戻らぬ』」と報じると、自治体から「復興を支援すべき地元大学が復興の邪魔をするのか」と批判された。

 「大学が寄り添ってきたのは、復興を目指す国や自治体、それに沿って帰還しようとする住民だけだったのだろうか」。教員からは悩みも漏れる。

 住民とて一色ではない。避難指示が解除されたらふるさとに帰るのか、避難先に残るのか。家族ですら割れるいくつもの課題が、福島の人々を分かつ。

 中井勝己学長は言う。「大学としては、どちらか一方を排除するのではなく、両方の人たちに寄り添うという姿勢だ。だが、実際はなかなか難しい」

 (朝日新聞 清野有希子、江戸川夏樹)
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