境野米子の自然暮らし

築150年の茅葺きの古民家を修復し、暮らしはじめて16年。おいしい水が湧き、囲炉裏があって、四季折々の恵みにあふれる暮らしを楽しんでいます。

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20000Bq/bodyを越える内部被曝

福島・浜通りから~個人の問題とコミュニティー全体の問題

この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

南相馬市立総合病院
非常勤内科医
坪倉 正治

先日、南相馬市立総合病院での内部被曝検査結果が高めの方がいらっしゃいました。

高齢の男性で、セシウム134と137合計が20000Bq/bodyを越えるぐらいの値でした。

2013年秋以降の検査です。実は、南相馬市立総合病院で検査を始めた2011年7月以降で最大の値でした。いくつかの点で、今までの高値だった方との共通点があります。高齢男性であること、そしてその奥様も高めの値だったことです。

繰り返しになりますが、内部汚染は食品摂取により家族単位で起こります。そして生物学的な差から、年齢が高い男性で値が高くなる傾向にあります。本当は一家全員を計測するなら、子供ばかり測るのではなく、大人を計測する方が効率は良いです。出荷制限のかかっている食品を、未検査で、継続的に摂取するようなことがなければ、高めの内部汚染を示すことはまずありません。

今回、述べたいのは、こうした高い検査結果の人がでた話ではありません。

検査結果は通常、1~2週間以内に家庭に郵送されます。そして、値の比較的高い方の場合(南相馬市立総合病院では20Bq/kg)、食事指導や生活相談などを踏まえて外来に来ていただけるよう、こちらから連絡をします。そして継続的な検査を組み、値が下がっていることを確認していく作業を行っています。

この方は何度かお願いしたものの、最初の外来に来ていただくことはできませんでした。「忙しい」という理由でした。実は、ひらた中央病院での検査で最大値だった男性も、最初は何度か外来に通ってくださり、値が順当に下がってはいたのですが、外来には来てくれなくなりました。いわゆる「フォロー落ち」してしまったのです。

私の医師としての技量が未熟なこともあると思うのですが、継続的なフォローを行うのは難しいのです。糖尿病の外来でも同様のことが起こります。当然のことですが、糖尿病と診断された方全員が、しっかり外来受診をされることはありません。とある人はきっちり健康手帳を持ち、結果を毎回書き留め、把握し、治療に専念されます。しかし、たまにしか外来に来なかったり、少しきつめに食事指導や話をすると、もう受診されなくなったりするということがあります。

同じクリニックで、患者さんに怒るぐらいの厳しい指導をする医者Aと、まあ仕事も忙しいし、仕方ないよねとややゆるめの指導をする医者Bがいると、何年か経つと自然と患者さんも自身の性格に合わせて、かかる医者が変わってしまうのは不思議です。もちろん、その要素だけではありませんが、外来でのトーンが合うことは継続的な受診には必須です 。

外来にて、どのように食事指導を行っていくべきか、今後も試行錯誤が必要です。20000Bq/bodyぐらいの放射性セシウムが体内に含まれていたとしても、年間の内部被曝は1mSvには到達しません。70歳男性が20000Bqという値だったとして、厳しく食事指導する必要があるか? きっと人によって意見は異なるだろうと思いますし、私もきつめに話をしようとは思いません。

それは、その方の人となりや、家族構成、生活スタイルなど様々な要因から総合的に判断されるべきです。ただ「食べるな」という話では全くありません。

かといって、コミュニティー全体の被曝量を下げていこうと思えば、値の高い方への啓蒙や検査は必須です。最大値が万Bqの単位で、数百万Bqとかじゃないのだから、食品検査など不要で自由に摂取してもらってよいという考えもあるでしょう。ところが、その結果、住民の方を検査して20000Bq/bodyぐらいの高齢者があちこちにいらっしゃるという状況になってしまうはずです。それは、好ましいとは思えません。

(もちろん現在、その様な状況ではありません)

色々申し上げましたが、結局は通常の診療のように淡々と個別対応を続けるしかないと思っています。

写真: ちょっと時期がずれますが、院内のクリスマス。金澤院長とリハビリスタッフが各病棟を回っています。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014010600024.html

今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。

MRIC by 医療ガバナンス学会
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